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Creative Writing Poem Taichi Inoue

Taichi’s Poem

A poem by Taichi Inoue

Written by Taichi Inoue

北の海で船が沈んだ。

わたしたちはみな船のうえ。

波の荒さに耐えかねて、船は形を変えるという。

変わらないのはその旗だけ。

美しくて、懐かしい、愛おしくて、呪いの、旗。

誰が船から降りられようか。

誰が船旗を手放せようか。

みんな知っている。船はもう戻れない。

港にも。あの日にも。

わたしたちはみなテセウスの上。

冷たい北の海に沈んでいく。

変わらない旗を抱きしめて。

抱きしめられ、沈んでいく。

沈んでいくあなた、テセウスのあなた。

わたしはあなたを見て泣いた。

わたしはわたしを見て泣いた。

沈んでいくわたし、テセウスのあなた。

北の海は冷たいから。その旗できっと暖めてね。

目を閉じた。あぶくが漏れた。

暗い海の底、牙を剥いていたのは。わたし。

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